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巻頭言
不安障害に正しい理解を
著者: 越野好文1
所属機関: 1金沢大学医学部神経精神医学教室
ページ範囲:P.342 - P.343
文献購入ページに移動日本での“不安障害”の現状はというと,1993年の第89回日本精神神経学会総会のシンポジウムで,「パニックディスオーダーの病態と治療-生物学的視点から心理・社会学的視点まで」としてPDが取り上げられた。その際,西園昌久先生は「PDという新しい概念が(日本に)入ってきて,これをどのように理解し,位置づけしようかというので,四苦八苦している段階だろう」とコメントされ,司会の岩崎徹也先生は「PDという概念は主に諸外国における研究によって発展してきたのであるが,それを現在の口本の中で再検討しようという動きの中でシンポジウムが組まれた」と述べられている。シンポジウムのテーマにパニックディスオーダーという言葉を日本語に訳することなくそのまま用いられたことは,この概念がまだ日本の精神医学界にとけ込んでいないことを象徴するものであろう。PDを代表とする“不安障害”は日本ではまだ十分な市民権を得ているとはいいがたい。
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