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展望

インターフェロン療法中の精神症状

著者: 高木洲一郎1

所属機関: 1国立東京第二病院精神科

ページ範囲:P.344 - P.358

■はじめに
 インターフェロン(以下IFNと略す)は,1992年にC型慢性活動性肝炎(以下C型肝炎と略す)に健保の適用が追加されて以来,使用量が飛躍的に増大し,それとともに精神症状がにわかに臨床上の大きな問題となった。IFNの精神症状は,歴史的には1980年代には,癌や血液疾患に対する大量投与例におけるせん妄や脳症が問題であつたが,最近ではC型慢性肝炎におけるうつ病など,感情障害が注目されている。
 C型肝炎のIFN療法は歴史も浅く,治療法自体も,今後解明されるべき問題が多い。精神症状に関しては,症例報告は増加しているが,研究や総説はわずかしかない16,32,56,64,75)。しかし精神症状は治療に当たる医師のみでなく,精神科医もよく認識しておくべきである。精神症状の理解に当たってはIFN,あるいはC型肝炎に対するIFNの問題点について認識しておく必要がある。本稿ではIFNについて概説した上で,投与中の精神症状に関する現在までの知見を紹介したい。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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