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文献詳細

雑誌文献

精神医学37巻4号

1995年04月発行

文献概要

研究と報告

バルプロ酸ナトリウムによる軽度高アンモニア血症で強迫症状を呈した1例

著者: 高橋倫宗1 池淵恵美1 野口昌孝1 渡辺洋文1 広瀬徹也1 風祭元12

所属機関: 1帝京大学医学部精神神経科学教室 2現,東京都立松沢病院

ページ範囲:P.383 - P.389

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 【抄録】バルプロ酸ナトリウム(以下VPA)の副作用による高アンモニア血症で,強迫症状を呈した1例を報告した。症例は16歳男性で,11歳からVPAとカルバマゼピンの併用療法を受け,服薬開始後約30か月で強迫症状,抑うつ状態を塁した。精神症状は,VPAの副作用による軽度の高アンモニア血症,および脳波の徐波化と密接な相関関係があり,これらはVPAの中止により速やかに改善された。脳波所見から,精神症状出現の背景には,高アンモニア脳症によると思われる軽度の意識障害の存在が示唆され,これに個体の素因,心因が加わり症状発現に至ったと思われた。また,高アンモニア血症が大脳辺縁系の興奮を来すという動物実験の結果と,最近の強迫の局所脳障害説を紹介し,本症例でも辺縁系の異常があったと仮定するならば,これが強迫症状発現の器質的背景となりうることを考察した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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