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研究と報告
皮膚寄生虫妄想の3例について—その精神病理学的,診断学的検討
著者: 林拓二1 鬼頭宏1 松岡尚子1 須賀英道1
所属機関: 1愛知医科大学精神科
ページ範囲:P.397 - P.404
文献購入ページに移動症例は63歳から70歳までの高齢者で,CT上,脳表萎縮や脳室拡大が2例にみられたが,明らかな痴呆や意識障害は認められなかった。中心症状の体感異常は,2例で外部からの影響と考えられる「作為」の性質を帯び,頭のふけをムシの死骸と主張する症状は,妄想知覚とも考えられた。ムシの出現を擬人化してとらえ,意志を持った存在と感じる体験も,特異的な分裂病性のものと考えられた。
これらは「体感異常型」分裂病に近縁の遅発性分裂病の一型とも考えられるが,寛解を繰り返すことから,どちらかと言えば非定型精神病に近いとも言え,身体的基盤のさらに詳しい研究の必要性を強調した。
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