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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

治療抵抗性感情障害に対するサイロキシン(T4)の治療効果

著者: 鈴木克治12 久住一郎1 井上猛1 土屋潔1 松倉真弓13 越前谷則子12 松原良次12 大森哲郎1 松原繁廣14 小山司1

所属機関: 1北海道大学医学部精神医学教室 2現,市立稚内病院精神神経科 3現,滝川市立病院精神神経科 4現,国立十勝療養所

ページ範囲:P.477 - P.484

 【抄録】近年,感情障害治療における甲状腺ホルモンの有効性に関する報告が諸外国で散見されるが,我が国ではまだまとまった報告がみられていない。今回,我々は,治療抵抗性の双極性感情障害にサイロキシン(T4)を併用して著明な改善の得られた7症例を報告した。rapid cycler群(3例)では病相予防効果または病相の程度(振幅)の減少が,遷延性うつ病群(4例)では抑うつ症状の改善が認められた。サイロキシン投与前,検査上なんらかの甲状腺機能低下所見が6例で認められ,投与後,T4またはfree-T4値の上昇が全例に観察された。したがって今後,甲状腺機能を1つの指標として治療抵抗性感情障害にサイロキシン投与を試みていく価値があると考えられた。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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