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文献詳細

雑誌文献

精神医学37巻5号

1995年05月発行

文献概要

短報

C型慢性活動性肝炎でインターフェロン治療中にパーキンソン症状を呈したアルコール依存症の1例

著者: 鈴木裕樹13 宍戸壽明1 阿部浩之1 白潟稔1 堀越立1 星野修三2 穴沢卯三郎2 丹羽真一1

所属機関: 1福島県立医科大学神経精神科 2竹田綜合病院精神科 3いわき市立常盤病院神経科

ページ範囲:P.523 - P.525

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 近年,B型慢性肝炎やC型慢性肝炎にインターフェロン製剤(IFN)が投与され,すでにその効果は確認されている。しかし,IFNは著効例がみられる反面,種々の副作用が出現することが知られている1,3〜6,8,10〜12)。その中で,中枢神経系の副作用としては,意識障害,知能低下,傾眠,精神錯乱,知覚異常,見当識障害,幻覚,不安,抑うつなどが報告されている1,7,8,11,12)
 今回我々は,抗精神病薬を服用しているアルコール依存症者で,C型慢性活動性肝炎の治療のためIFNの投与を受けたところ,パーキンソン症状が出現した1例を経験した。慢性肝炎の治療のためにIFNを投与してパーキンソン症状が出現したという報告はまだ少ない。アルコール依存症者は肝障害を合併することが多く,C型肝炎ウイルス(HCV)マーカー陽性の肝障害に罹患すると病状の悪化の速度が速く,予後が悪いことが報告されており9),IFN治療の適応となる患者が多いことが推測される。このため,若干の考察を加えて報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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