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文献詳細

雑誌文献

精神医学37巻6号

1995年06月発行

文献概要

研究と報告

分裂病者におけるP300振幅の減衰は常にtrait markerと言えるか—緊張型4症例での寛解期の回復

著者: 岩崎真三1 鳥居方策1 中川東夫1 有原徹1 藤木暁1 片町隆夫1 天野裕之1

所属機関: 1金沢医科大学神経精神医学教室

ページ範囲:P.629 - P.637

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 【抄録】分裂病者に常に観察される顕著なP300振幅の減衰は,投薬や症状改善に影響されないだけでなく,罹患のリスクの大きい分裂病者の子どもなどにも認められることから,分裂病の素質(trait)を表現するものである,という見解が定着している。
 我々は緊張病の4症例において,各2〜4回ずつ記録した視覚性ERPのP300振幅が,急性増悪期に顕著な減衰を示しながら,症状の改善とともに次第に増大し,最終的にはほぼ正常の大きさに復することを見い出した。また,これら4症例で記録されたP300振幅は,BPRSおよびSANSの総得点との間に,それぞれ有意な負の相関を示した。これらの所見は,少なくとも非中核群の分裂病ではP300振幅が状態依存性(state-dependent)に変動する可能性を示唆するものである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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