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文献詳細

雑誌文献

精神医学37巻7号

1995年07月発行

文献概要

研究と報告

分裂病者の挿話性病理現象に対するclonazepamの治療効果

著者: 井田能成1 内村直尚1 長谷川浩二2

所属機関: 1久留米大学医学部精神神経科学教室 2宗像病院

ページ範囲:P.715 - P.722

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 【抄録】精神症状を主徴とする発作性の挿話性病理現象(以下発作現象)を長期間にわたり頻発していた精神分裂病の3症例を経験した。発作現象の症状は,思考制止,思考滅裂,思考途絶,注察妄想,被害関係念慮,抑うつ気分,不安焦燥感,行動制止などで,知覚変容体験はほとんど認められなかった。発作現象が抗精神病薬の減量変更により消失したという報告があるが,2症例は減量すれば病状悪化の可能性があったし,1症例では減量により精神症状が再燃した。また,発作現象に有効とされるbenzodiazepine(BZD)系抗不安薬や抗コリン薬の投与によりある程度の改善は認められたが,完全には抑制されなかった。そこで,BZD系抗てんかん薬のclonazepamを併用投与したところ3症例ともに発作現象は完全に抑制された。これらのことから,発作現象により日常社会生活が障害されていながら抗精神病薬療法の調整が難しい精神分裂病の症例では,clonazepamの併用療法が有効であると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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