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文献詳細

雑誌文献

精神医学37巻7号

1995年07月発行

文献概要

研究と報告

前駆期に強迫症状を有する児童期発症の精神分裂病の特徴

著者: 飯田順三1 岩坂英巳1 平尾文雄1 橋野健一2 松村一矢3 田原宏一3 青山富貴子4 崎山忍5 辻本博一4 川端洋子1 井川玄朗1

所属機関: 1奈良県立医科大学精神医学教室 2医療法人南風会下市病院 3医療法人鴻池会秋津鴻池病院 4財団法人信貴山病院 5医療法人桐葉会木島病院

ページ範囲:P.723 - P.730

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 【抄録】15歳以下でDSM-III-Rによって精神分裂病と診断された39例を前駆期に強迫症状を呈した群16例と強迫症状を呈さなかった群23例に大別し,両群を種々の因子に関して比較検討した。その結果,前駆期に強迫症状を呈した群は強迫症状を呈さなかった群に比べて,男性に多く,周産期障害や頭部CTにおける異常が多く,遺伝負因は少なく,IQは高かった。また前駆期の期間が長く,潜行性発症が多く認められた。前駆症状として学業成績の低下,著しい社会的孤立,鈍麻したあるいは不適切な感情などの陰性症状が多く認められ,臨床症状においても会話の貧困のみが顕著で,連合弛緩,作為体験,会話性幻聴,幻視,種々の妄想,妄想構築などの陽性症状は少なかった。このように前駆期に強迫症状を呈する分裂病群は呈さなかった群と比べて明らかに異なった臨床像を呈しており,subtypeとして区分できる可能性が示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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