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文献詳細

雑誌文献

精神医学37巻7号

1995年07月発行

文献概要

研究と報告

慢性妄想型分裂病のPET所見

著者: 上杉秀二1 豊田純三2 飯尾正明3

所属機関: 1国立精神・神経センター武蔵病院精神科 2国立療養所榊原病院精神科 3国立療養所中野病院放射線科

ページ範囲:P.731 - P.735

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 【抄録】妄想型分裂病の長期入院患者と健常者の局所脳血流量を,PETを用いて測定し比較検討した。対象:妄想型分裂病5例(平均年齢41.4±5.3歳,全例男性),健常者6例(平均年齢42.0±12.1歳,全例男性)で2群の年齢および性を一致させた。方法:PETは15O-CO2の持続吸入法を行い,安静開眼状態で行った。各脳部位のROIを取りrCBFの測定を行った。
 結果:妄想型分裂病患者のrCBFは健常者に比し側頭葉および小脳で有意に高く(p<0.05,t-test),前頭葉,頭頂葉および尾状核,海馬傍回,被殻では高い傾向(p<0.1)が認められた。一方,視床では差が認められなかった。また妄想型分裂病患者の,各脳部位でのrCBFの左右差は認められなかった。またSPECTによる相対的血流量の研究では,小脳を基準に比を算出することがあるが,今回の結果から小脳が基準になりえるのか問題があり,今後の検討が必要と考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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