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文献詳細

雑誌文献

精神医学37巻7号

1995年07月発行

文献概要

研究と報告

向精神薬に起因する薬剤性無顆粒球症の顆粒球コロニー形成刺激因子(lenograstim)による治療

著者: 平井茂夫12 堀彰1 有馬邦正1 白山幸彦1

所属機関: 1国立精神・神経センター武蔵病院精神科 2現,東京医科大学八王子医療センター病院病理部

ページ範囲:P.737 - P.742

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 【抄録】我々は,精神科病床約500床の施設において無顆粒球症を,ほぼ同時期に3例経験した。3例とも赤血球,血小板に異常はみられず,白血球減少(症例1:3.28×103,症例2:1.26×103,症例3:2.04×103/μl)と好中球の菩明な減少(症例1:210,症例2:390,症例3:430/μl)が認められた。無顆粒球症の原因薬剤としては,症例1ではlevomepromazine,症例2ではlevomepromazine,promethazine,carbamazepine,症例3ではsulpirideが考えられた。無顆粒球症の治療としては上記の原因薬剤の中止が重要であった。しかし,顆粒球コロニー形成刺激因子(lenograstim)の注射により,症例1では感染症を未然に抑え,症例2および3では重篤な感染症を引き起こすことなく無顆粒球症の治療に成功した。以上の結果から,精神科領域でも薬剤性無顆粒球症は決してまれなものではなく,その治療には原因薬剤の中止とlenograstim注射が有効と考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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