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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

多彩な精神症状を呈したchorea-acanthocytosisの1例

著者: 水上勝義1 川西洋一1 白石博康1 鈴木悦2

所属機関: 1筑波大学臨床医学系精神医学 2筑波大学附属病院検査部病理検査部門

ページ範囲:P.743 - P.749

 【抄録】精神分裂病様症状で発病し,その後人格変化や知能低下を呈したchorea-acanthocytosis(CA)の1例を報告した。症例は24歳の女性。17歳時幻聴,思考化声,被害関係妄想,被毒妄想,思考伝播,作為体験などで発病した。約3年後口部ジスキネジアが,さらにその後人格変化や知能低下も目立つようになった。またしばしば抑うつ,不安状態を呈した。血液検査で有棘赤血球を10.6%に認め,CPKも高値を示した。本例の精神症状は既報告の精神症状と符合した。またCAでみられる精神症状と,同じく尾状核に主病変を持ち,舞踏病を主症状とするHuntington病の精神症状とは類似した点が多いことを指摘した。しかしながら,これまで精神分裂病様症状を呈したCAの報告は比較的まれであり,本例のように,精神分裂病様症状で発病し,後に口部ジスキネジアが出現した症例は,精神分裂病に薬剤性の遅発性ジスキネジアが出現したと考えられやすく,本症の存在が見過ごされる可能性もあるものと考えられた。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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