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文献詳細

雑誌文献

精神医学37巻7号

1995年07月発行

文献概要

短報

性格尖鋭化と知能低下を示し脳萎縮と淡蒼球病変を認めた急性高山病後遺症の1例

著者: 河西千秋1 後藤健一1 阿瀬川孝治1 渋谷克彦2 小阪憲司1

所属機関: 1横浜市立大学医学部精神医学教室 2神奈川県総合リハビリテーションセンター精神神経科

ページ範囲:P.751 - P.754

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 急性高山病(acute mountain sickness)は高所への短時間の移動でみられ,咳漱,動悸,呼吸困難のほか,頭痛,めまい,脱力,歩行障害などの神経症状を呈し,重度の場合には意識障害から死に至ることもある1,7)。一般に急性高山病の本態は,急激に低圧・低酸素環境に曝露されることにより惹起される肺水腫とされ,神経症状は主に低酸素性低酸素脳症によるものと考えられているが,中枢神経の病変については十分検討されているとはいえない。高山病では種々の神経症状がみられるにもかかわらず,これまでは循環器・呼吸器系に焦点を置いた症例研究がほとんどであり,中枢神経系の病変や症状を詳細に記載したものは少ない。今回我々は,意識障害を伴う急性高山病の後に性格変化と知能低下を示し,画像上で前頭葉の萎縮と淡蒼球病変を認めた症例を経験したので,その症例を呈示し,既報告例の検討,病態に関する考察を加えて報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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