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阪神大震災下における中学校と生徒たちの体験—学校精神保健コンサルテーションの現場より
著者: 人見一彦1
所属機関: 1近畿大学医学部精神神経科
ページ範囲:P.775 - P.779
文献購入ページに移動■大震災下のある中学校
数年間にわたり,阪神地域のある都市の中学校において学校精神保健コンサルテーションに参加させていただき,学校で生徒たちが示す心配な行動について,それをどのように理解すべきであるか,またそれに対してどのような対応が望ましいかについて,精神医学の立場から教師にアドバイスを与えてきた。
今回は大変なことになってしまった。それは1月17日未明に起こった兵庫県南部地震がもたらした大震災のためである。800人規模の伝統ある中学校では,5人の生徒が震災で亡くなった。3人が土砂崩れによる家屋の倒壊により,1人は階下にいて,もう1人は偶然トイレに入っていて,これも家屋の倒壊により亡くなった。震災当初は約750人の住民が学校に避難していた。震災から17日目に,午前中の短縮で授業が再開されたが,その時点ですでに約150人の生徒が疎開していたという。大半は再び帰ってくる予定はないらしい。約30人の生徒が校区外の避難先から,長い時間をかけて電車を乗り継いで通ってくる。現在も約50人の住民が学校の体育施設に避難している。わずかであるがその避難場所から通ってくる生徒もいる。
数年間にわたり,阪神地域のある都市の中学校において学校精神保健コンサルテーションに参加させていただき,学校で生徒たちが示す心配な行動について,それをどのように理解すべきであるか,またそれに対してどのような対応が望ましいかについて,精神医学の立場から教師にアドバイスを与えてきた。
今回は大変なことになってしまった。それは1月17日未明に起こった兵庫県南部地震がもたらした大震災のためである。800人規模の伝統ある中学校では,5人の生徒が震災で亡くなった。3人が土砂崩れによる家屋の倒壊により,1人は階下にいて,もう1人は偶然トイレに入っていて,これも家屋の倒壊により亡くなった。震災当初は約750人の住民が学校に避難していた。震災から17日目に,午前中の短縮で授業が再開されたが,その時点ですでに約150人の生徒が疎開していたという。大半は再び帰ってくる予定はないらしい。約30人の生徒が校区外の避難先から,長い時間をかけて電車を乗り継いで通ってくる。現在も約50人の住民が学校の体育施設に避難している。わずかであるがその避難場所から通ってくる生徒もいる。
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