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雑誌目次

論文

精神医学37巻8号

1995年08月発行

雑誌目次

巻頭言

大学院制度について

著者: 白石博康

ページ範囲:P.792 - P.793

 基礎医学分野における研究の著しい進歩は,今更言うまでもなく誰もが認める現象であると思われるが,筆者はこのことをことさら身近に感じるようになった。その要因の1つとして大学院の存在がある。筑波大学の創造活動の活性化を実現するための学長諮問委員会として21世紀大学創造委員会が1993年10月に設置され,21世紀の大学のビジョンが提案された。この改革の提案の1つに“大学院の重点化”の項目があり,その基本方針および現状として,「本学は,教育面の充実に配慮しつつも,総体的には研究志向型総合大学を目指す。言い換えれば,新しい知識の創造を担う学問分野の格段の拡充を図り,あわせて国際的視野で社会貢献のできる人材の育成に努めることが,これからの本学のとるべき道である」とある。要するに大学の研究・教育の重点を大学院に置くということであり,具体的には研究科を教員組織の基本単位とし,教員は原則として,いずれか1つの研究科に所属するように改革するというものである。これはいわば研究至上大学を作るということであり,このような動きはすでに全国的なものと思われる。

特集 外来精神科医療の現状と課題

病院における外来精神科医療の役割と問題点

著者: 保坂隆 ,   黒木宣夫 ,   片山義郎 ,   守屋裕文

ページ範囲:P.794 - P.799

■はじめに
 精神疾患の治療目標は患者の社会への適応にあり,その治療は医療施設だけでなく社会全体が負うべき性質のものである。そして,このような前提条件の中で,向精神薬の改良や,最近の精神疾患の軽症化,脱施設化の傾向,などにより,精神疾患の治療は,入院治療という形態から外来治療へと,その主体を変えつつある。精神医療と福祉が一本化されていくという潮流の中で,このような傾向はますます加速されていくことになり,今後の精神医療は外来という場が,これまで以上に非常に重要な役割を担ってくることになる。
 そのような背景を踏まえて,本稿では,精神病院や総合病院などの,病院における外来精神科医療の役割とその問題点を概説していく。膨大な内容を含んだテーマであるため,論点が希釈されないよう,まず,入院から外来へと精神科医療の場が移行していることを示した後,病院という全体的な枠組みの中での外来精神科医療の役割と問題点を論じ,最後に,総合病院精神科が有している特異的な側面について述べていくことにする。

診療所における外来精神科医療の役割と問題点

著者: 浜田晋

ページ範囲:P.801 - P.807

はじめに
 1970年代から精神科診療所が都市部を中心に著しく増加した。次いで10年後からはデイケア・作業所・共同住居なども急速に増え,一応形の上ではやっと「地域内社会資源」が整ってきた。やや性急かもしれないが,それらは今や量より質の時代に入ったといえようか。
 まだ精神病院入院中心主義の大きな流れには抗すべくもなかろうが,確かにかすかな出口が見えたと私は思っている(ちょっと甘いかな?)。そして今,改めて町の中の精神科医の社会的役割が問われることとなった。幸か不幸か,そのことが,阪神大震災で鮮明になったのである。
 1974年,私が上野で精神科診療所を開業し,「精神科診療所開業のすすめ」1)を声高にうたったが,20年余,そして神戸を経て,いろいろな想いが交錯する。まだ迷いの中にある。精神科診療所医療の総説を論ずる心のゆとりはない。極めて個人的な,志ある人へのメッセージでしかないことをお許しいただきたい。

[座談会]精神科診療所外来の可能性

著者: 三浦勇夫 ,   臺弘 ,   窪田彰 ,   楢林理一郎 ,   下坂幸三

ページ範囲:P.809 - P.821

 1989年の精神保健法の社会復帰施策の推進,あるいは精神疾患の軽症化などの流れを受けて,医療を受けながら,社会の中で生きていく精神障害者が増加している。それに伴い,精神医療の主たる場も入院から外来へ移行しつつあるという。そこで本誌では,外来精神科医療を担う精神科診療所の役割・特徴を見直し,今後の可能性についてお話し合いいただいた。

[精神科専門外来の実際と問題点]

精神科デイケアの問題点—診療所併設デイケアの経験から

著者: 加藤信

ページ範囲:P.822 - P.824

■はじめに
 ここ10年ほど,我が国の精神医療政策の中で外来診療が重視されるようになり,精神科診療所やデイケアなどに関し,保険診療点数の面でも配慮がなされるようになった。筆者のクリニックを含め,最近,精神科診療所やデイケアが続々と開設されているのは,このような流れに沿ったものといえよう。筆者は1991年1月7日に外来診療を開始し,デイケアを同年5月末に開設した(保険診療施設としてのデイケア認可は同年10月1日)。当デイケアは開設されてからの期間も短く,まだ試行錯誤が続いている段階で問題も多いが,むしろ参考になる点はあるかもしれない。以下,主に筆者の経験をもとに,診療所併設精神科デイケアの問題点について述べる。

睡眠障害の外来診療

著者: 坂本哲郎 ,   中沢洋一

ページ範囲:P.825 - P.828

■はじめに
 睡眠障害は精神科を訪れる患者が訴える症状の中でも最も頻度の高いものの1つであり,その中には不眠症のみならず,精神分裂病,感情病,神経症,痴呆,器質性あるいは心因性精神障害,中毒性精神障害など精神科で扱うほとんどすべての疾患が含まれる。また,近年の睡眠研究や時間生物学の発展により,不眠や過眠を引き起こす様々な疾患が明らかにされてきた。そのため,睡眠覚醒障害の診断には標準の終夜睡眠ポリグラフ(以下PSG)検査に加え,呼吸運動および換気の記録,下肢(特に前脛骨筋)の筋電図,酸素飽和度の記録,ビデオモニター,長期間の睡眠日誌,少なくとも3日間以上連続した深部体温(直腸温,核温度,鼓膜温)の記録,MSLT(multiple sleeplatency test),HLA抗原検査などが診断確定のため必要となってきた。
 こうした現状を踏まえ,睡眠障害専門外来の抱える主な問題点には次の3項目がある。
 (1)睡眠外来で扱う疾患の範囲
 (2)診断および診断基準の統一
 (3)患者および治療者の負担
 本特集では上記の問題について,久留米大学精神科睡眠障害クリニックの実情に照らしながら考察を加える。

大学病院における精神科救急の現状と問題点—時間外診療の実態

著者: 鈴木博子 ,   黒沢尚

ページ範囲:P.829 - P.832

 最近,精神科における救急医療は,地域医療システムの一環として欠くことのできない領域であると指摘されるようになり,その実状,問題点などについて多くの報告がなされている。実際に,精神科救急として扱われる事態としては,精神障害を原因とした自傷他害行為などで,本人の意思とは関係なく強制的に緊急に治療的介入を必要とする場合のいわゆる“堅い救急4)”から,何らかの精神症状を訴えて自ら医療を求めてくる場合のいわゆる“柔らかい救急4)”まで,様々な段階が存在するが,単科の精神病院,総合病院,大学病院,また,自治体病院,公立病院などで,また各地域で精神科救急へのかかわり方は様々であり,一定していない。
 本稿では,大学病院における精神科救急についてその現状,問題点について述べる。

精神科老人外来—現場からの報告と意見

著者: 井関栄三 ,   小阪憲司 ,   加藤雅紀

ページ範囲:P.833 - P.836

■はじめに
 近年の高齢者人口の急激な増加に伴い,精神科外来における高齢者の割合も増加傾向にある。老年期は精神身体機能の低下に加えて,役割感の喪失や孤独など環境因子の影響もあり,もっとも精神障害を生じやすい年代といえる。老年期精神障害の医療に当たっては,保健・福祉機関との連携が必須であり,また合併症が多いことから他科との協力も当然ながら必要となる。老年期精神障害の特徴は,うつ病・神経症といった機能性精神障害に加えて,器質性精神障害,特に痴呆性疾患の割合が高いことにある。前者においても老化の影響など他の年代と異なった特徴がみられ考察すべき点は多いが,本稿では筆者らが行っている,主に痴呆性疾患患者を対象とした精神科老人外来について,老人性痴呆疾患治療研究センターの設置された大学附属病院と老人性痴呆疾患相談病院に指定された私立精神病院における調査結果を通じて,その現状と問題点を述べてみたい。

思春期症例の外来診療

著者: 井上洋一

ページ範囲:P.837 - P.840

 思春期外来も基本的には精神科一般外来と異なるところはないが,思春期の若者の心性に配慮して,彼らが受診しやすいような枠組みを備えている。筆者が参加している大阪大学医学部精神科青年期外来(思春期外来)を参考にしながら,思春期外来を支える枠組みを取り上げて整理し,その特徴を述べ,思春期外来が抱える問題点について考えてみたい1,5)

薬物依存症の外来診療

著者: 千貫悟 ,   小沼杏坪

ページ範囲:P.841 - P.843

 現在,タバコ,アルコールを別にすると,我が国で比較的多く乱用され臨床上問題となっている依存性薬物は,有機溶剤と覚せい剤である。ここでは,これら2剤の薬物依存症を念頭に置きながら,外来診療の実際について述べたい。

アルコール依存症の外来治療と問題点

著者: 奥平謙一

ページ範囲:P.844 - P.846

■アルコール依存症の多面性
 アルコール依存症は,患者本人の症状として①依存の進行,②身体疾患,③精神症状を引き起こし,さらに④家族問題,⑤社会問題など多面的広がりを持つことが特徴である。そのため,患者,家族も,治療者も病気の全体を把握し,問題の本質を理解するのが困難な場合がある。そのために,病気の発見治療が遅れたり,治療が不十分であったりする。アルコールは依存性薬物の一種であり,依存が進行すれば,飲酒をコントロールすることができなくなる,との基本的認識が,十分広まっているとはいえない。そのため,飲酒行動の異常を家族間の病理の結果としてのみとらえたり,背後にある依存症を見過ごし,身体疾患の治療のみを繰り返したりする間違った対応がしばしば行われているのである。

外国人精神障害者の外来診療の問題点—1%へのサービス

著者: 野田文隆

ページ範囲:P.847 - P.849

 先頃,日本に在住する外国籍の人の割合が1%を超えた。それに応じて精神科外来を訪れる外国人の数も増えているはずである。(はずであるというのは外国人受診者数に関する全国を縦断するような調査はなく,アンケート調査など7,10)においてうかがい知るのみであるからである)。しかし,その外来サービスがどう運営されているかに関しては,外国人を診ることに比較的積極的な医療機関,精神保健専門家の報告を除いてはつぶさには見当がつかないのが実情である。ここでいう外来サービスとは,例えば,そもそも病院・クリニックが外国人を受け入れることに前向きか否か,という問題に始まり,通訳はどう調達しているのか,その支払いは,医療費などに関するケースワークはどうしているのか,入院が必要な時の告知は,さらに一歩踏み込んで,どのように外来受診を継続させているのか,一般外来で診るのか特殊外来を設置するのか,精神療法はどのように行うのかなど,多岐にわたるものである。そもそも圧倒的なマイノリティ(少数派)である外国人の,そのまたマイノリティである精神に障害を持った人々に十全な外来サービスが施されているとは考えがたい。本稿では,「1%へのサービス」としていまだ揺籃期にある外国人精神障害者への外来診療の問題点を,受診に至るまでの問題と受診そのものの問題に分けて論じてみたい。

摂食障害の母親のグループ療法の試み

著者: 高木洲一郎 ,   浜中禎子 ,   宮田正子

ページ範囲:P.850 - P.852

■はじめに
 我々は摂食障害の患者を多数受け入れている状況下で,限られたマンパワーと家族側のニードから,1991年より治療の一貫として母親のグループ療法を行っているが,大変有意義である。このような試みは摂食障害の治療にとどまらず,各施設がマンパワーを活用し,チーム医療を試みる上で,1つのモデルとしても参考になるかと思われ,紹介する。

研究と報告

仮名に選択的な頭頂葉性純粋失書の1例

著者: 藤井勉 ,   本山浩 ,   清水昭規 ,   倉知正佳

ページ範囲:P.853 - P.860

 【抄録】脳出血により仮名に選択的な純粋失書を呈した1症例を報告した。仮名の失書の特徴は,音素から書記素への変換に障害のある音素性失書を示し,他の文字への置き換えや付加が大部分を占めた。一方,書記素を書字運動パターンに移す段階の障害である失行を伴わない失行性失書と共通する失書の機構も混在し,運筆や部分的形態における他の文字の字画との混同を少数認めた。X線CT病巣は,左縁上回を中心に角回前下部に及ぶ皮質・皮質下白質に限局していた。漢字の失書がまれであったのは,病変の範囲が,音素性失書の責任病巣に限局し,語彙性失書の責任病巣とされる角回後上部と頭頂一後頭小葉は免れていたことによると考えられた。

老人性うつ病患者の頭部CT所見

著者: 吉邨善孝

ページ範囲:P.861 - P.868

 【抄録】老年期に発症したうつ病患者33症例において,1)うつ病患者と健常対照者との間で頭部CT所見に差がみられるか,2)うつ病患者の頭部CT上の変化と精神症状に関連があるかを検討した。頭部CT所見の評価には①視覚法,②線分法,③面積法を用いた。精神症状の評価にはHamilton's Psychiatric Rating Scale for Depressionを用いた。その結果,うつ病患者では,両側前頭葉領域,左側基底核領域で萎縮性変化を認めた。また脳萎縮の程度とうつ病の精神症状プロフィルとの間に関係があることが示唆された。脳萎縮,特に前頭葉萎縮が著明なうつ病症例では仕事や趣味に対する関心の低下,精神運動抑制,身体症状が強い傾向がみられた。うつ病群の脳萎縮がみられた部位は痴呆でも萎縮が比較的みられやすい部位であり,高年齢で発症したうつ病と痴呆との関連が示唆された。

老年期の眼科入院患者におけるせん妄

著者: 高橋滋 ,   高木正勝 ,   米村公江 ,   宮本正典 ,   久保田文雄 ,   中島政美 ,   大西直樹 ,   椎原康史

ページ範囲:P.869 - P.876

 【抄録】眼科入院中にせん妄を呈して精神科を受診した27例(男性11例,女性16例)について調査を行った。平均年齢76.5±7.2歳(66〜84歳),入院後に発症した術前群は10例,術後に発症した術後群は17例であった。術前群では,白内障が多く,脳器質障害を伴い,入院当日の夜に発症するものが多かった。術後群では白内障以外の眼科疾患が多く,脳器質障害は少なく,術後2日目までに発症するものが多かった。精神症状では,不眠,見当識障害,注意集中力低下,まとまりのない会話に加え,異常行動,興奮,幻覚が多かったが,幻視は術後群で有意に高い出現率を認めた。眼科患者におけるせん妄の特徴として,入院後または手術後早期に発症し,その要因として高齢,脳機能障害が考えられた。

精神分裂病患者の顔面表情の描画

著者: 横田正夫 ,   時田学 ,   山本直示

ページ範囲:P.877 - P.883

 【抄録】精神分裂病患者における顔面表情の描画表現特徴を明らかにするために,分裂病患者と正常者各30名を対象に,「怒った顔」「笑った顔」を描かせる顔描画検査を実施した。分裂病患者では描かれた顔の眉,目,口は,2つの顔に共通して,いずれも水平線で表される傾向が顕著であったが,正常者では「怒った顔」は逆八字眉,凸型口,「笑った顔」は凹型口で描かれる傾向がみられた。次に描かれた顔からどのような感情が認知されるかについて調べるために,上記以外の正常者25名が,評定尺度を使って評定を行ったところ,分裂病患者の「怒った顔」からは嫌悪が,「笑った顔」からは悲しみ,喜びといった2つの感情がそれぞれ優位に認知されたが,正常者の「怒った顔」,「笑った顔」からはそれぞれ怒り,喜びが優位に認知された。このように,分裂病患者では弁別可能なように顔の部分を描き分けておらず,また顔からは適切な感情の認知もできないことが示された。

長時間入浴により体重減少を試みていた同性愛のanorexia nervosaの男性例

著者: 松永寿人 ,   切池信夫 ,   永田利彦 ,   井上幸紀 ,   西浦竹彦 ,   宮田啓 ,   池谷俊哉 ,   山上榮

ページ範囲:P.885 - P.890

 【抄録】anorexia nervosaやbulimia nervosa患者においては,やせ願望や肥満恐怖により低体重を維持したり,体重増加を防ぐ手段として,絶食や摂食制限,自己誘発性嘔吐,過活動,下剤や利尿剤乱用などが最もよく知られている。今回我々はこれらに加え,極めて稀な方法として,1日約3時間の入浴により体重のコントロールを試みていた同性愛のanorexia nervosaの1男性例を経験した。本症例はさらに強迫性障害や回避性,強迫性,境界性などの人格障害を合併しており,これらと摂食障害との関連性について若干の考察を加えた。

私のカルテから

結婚のために日本に移住した外国人女性の精神保健上の問題点—1中国人女性を通して

著者: 管るみ子 ,   栗田征武 ,   田子久夫 ,   丹羽真一

ページ範囲:P.892 - P.893

 近年,日本に滞在あるいは移住する外国人は急増しており,精神科医がかかわる機会も激増している。精神科医療上の問題点に関する報告1,2,4)も多いが,具体的対策についての提言は少ない。これは医療費の問題や,滞在日数が短いことのため個々の症例へのかかわりが短期間に終了しがちで個々の症例への深い関与が少ないことなどが原因と思われる。個々の症例の問題点の詳細な検討によって,日本に滞在あるいは移住している外国人に対する精神科医療に求められるものへの具体的な対策が見えてくるのではないだろうか。
 最近我々は1中国人女性の症例を通して,結婚のために日本に移住した外国人の抱える精神保健上の問題点について考える機会があった。この症例の経過と問題点を呈示し,対策を考える1つの参考となれば幸いである。

追悼

マンフレット・ブロイラー教授を偲んで

著者: 人見一彦

ページ範囲:P.895 - P.897

 分裂病の長期経過研究で有名なスイスのマンフレット・ブロイラー(Manfred Bleuler)名誉教授が,チューリッヒ近郊ツォリコンの自宅で,1994年の11月4日に逝去された。享年91歳であった。
 ここであらためて先生の経歴を紹介し精神医学の広範な業績に触れながら,その足跡を偲びつつご冥福をお祈りしたい。

「精神医学」への手紙

Letter—続「疏通性か疎通性か」

著者: 柏瀬宏隆

ページ範囲:P.899 - P.899

 拙論「疏通性か疎通性か」(本誌第37巻第2号)に対して,西丸四方,岡田靖雄という斯界のお二人の碩学よりご意見を賜ったことは(第37巻第5号),筆者としては誠に感謝にたえない。しかし,両氏とも筆者の意見とは異なっているので,僣越ながら両氏のご意見を論評させていただく。
 まず西丸氏は,「私はめんどうだから疎通,疎外と皆,疎にしてしまっている。植字に困る方のことを考えて」と氏一流のユーモアをもって述べられている。筆者は逆に,教育の立場から,疏通性(Zuganglichkeit)と疎外や疎隔(Entfremdung)とを学会用語集に従い区別して,医学生や卒業生に伝えている。

基本情報

精神医学

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-126X

印刷版ISSN 0488-1281

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