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雑誌詳細

文献概要

特集 外来精神科医療の現状と課題 [精神科専門外来の実際と問題点]

睡眠障害の外来診療

著者: 坂本哲郎1 中沢洋一1

所属機関: 1久留米大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.825 - P.828

■はじめに
 睡眠障害は精神科を訪れる患者が訴える症状の中でも最も頻度の高いものの1つであり,その中には不眠症のみならず,精神分裂病,感情病,神経症,痴呆,器質性あるいは心因性精神障害,中毒性精神障害など精神科で扱うほとんどすべての疾患が含まれる。また,近年の睡眠研究や時間生物学の発展により,不眠や過眠を引き起こす様々な疾患が明らかにされてきた。そのため,睡眠覚醒障害の診断には標準の終夜睡眠ポリグラフ(以下PSG)検査に加え,呼吸運動および換気の記録,下肢(特に前脛骨筋)の筋電図,酸素飽和度の記録,ビデオモニター,長期間の睡眠日誌,少なくとも3日間以上連続した深部体温(直腸温,核温度,鼓膜温)の記録,MSLT(multiple sleeplatency test),HLA抗原検査などが診断確定のため必要となってきた。
 こうした現状を踏まえ,睡眠障害専門外来の抱える主な問題点には次の3項目がある。
 (1)睡眠外来で扱う疾患の範囲
 (2)診断および診断基準の統一
 (3)患者および治療者の負担
 本特集では上記の問題について,久留米大学精神科睡眠障害クリニックの実情に照らしながら考察を加える。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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