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文献詳細

雑誌文献

精神医学37巻8号

1995年08月発行

文献概要

特集 外来精神科医療の現状と課題 [精神科専門外来の実際と問題点]

アルコール依存症の外来治療と問題点

著者: 奥平謙一1

所属機関: 1神奈川県立精神医療センターせりがや病院

ページ範囲:P.844 - P.846

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■アルコール依存症の多面性
 アルコール依存症は,患者本人の症状として①依存の進行,②身体疾患,③精神症状を引き起こし,さらに④家族問題,⑤社会問題など多面的広がりを持つことが特徴である。そのため,患者,家族も,治療者も病気の全体を把握し,問題の本質を理解するのが困難な場合がある。そのために,病気の発見治療が遅れたり,治療が不十分であったりする。アルコールは依存性薬物の一種であり,依存が進行すれば,飲酒をコントロールすることができなくなる,との基本的認識が,十分広まっているとはいえない。そのため,飲酒行動の異常を家族間の病理の結果としてのみとらえたり,背後にある依存症を見過ごし,身体疾患の治療のみを繰り返したりする間違った対応がしばしば行われているのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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