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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

仮名に選択的な頭頂葉性純粋失書の1例

著者: 藤井勉1 本山浩23 清水昭規4 倉知正佳4

所属機関: 1富山県立中央病院精神科 2長野赤十字病院脳神経外科 3前所属:富山県立中央病院脳神経外科 4富山医科薬科大学医学部精神神経医学教室

ページ範囲:P.853 - P.860

 【抄録】脳出血により仮名に選択的な純粋失書を呈した1症例を報告した。仮名の失書の特徴は,音素から書記素への変換に障害のある音素性失書を示し,他の文字への置き換えや付加が大部分を占めた。一方,書記素を書字運動パターンに移す段階の障害である失行を伴わない失行性失書と共通する失書の機構も混在し,運筆や部分的形態における他の文字の字画との混同を少数認めた。X線CT病巣は,左縁上回を中心に角回前下部に及ぶ皮質・皮質下白質に限局していた。漢字の失書がまれであったのは,病変の範囲が,音素性失書の責任病巣に限局し,語彙性失書の責任病巣とされる角回後上部と頭頂一後頭小葉は免れていたことによると考えられた。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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