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【抄録】老年期に発症したうつ病患者33症例において,1)うつ病患者と健常対照者との間で頭部CT所見に差がみられるか,2)うつ病患者の頭部CT上の変化と精神症状に関連があるかを検討した。頭部CT所見の評価には①視覚法,②線分法,③面積法を用いた。精神症状の評価にはHamilton's Psychiatric Rating Scale for Depressionを用いた。その結果,うつ病患者では,両側前頭葉領域,左側基底核領域で萎縮性変化を認めた。また脳萎縮の程度とうつ病の精神症状プロフィルとの間に関係があることが示唆された。脳萎縮,特に前頭葉萎縮が著明なうつ病症例では仕事や趣味に対する関心の低下,精神運動抑制,身体症状が強い傾向がみられた。うつ病群の脳萎縮がみられた部位は痴呆でも萎縮が比較的みられやすい部位であり,高年齢で発症したうつ病と痴呆との関連が示唆された。
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