文献詳細
展望
文献概要
■はじめに
精神科デイケアの運営については,我が国に精神科デイケアを紹介した国立精神衛生研究所(現:国立精神・神経センター精神保健研究所)の加藤,石原らによる成書46,83)があり,最近では,尾崎71)のデイケア論や,宮内57)によるデイケアマニュアルなどが出版され,優れた総説も発表されている8〜10)。しかし,精神科デイケアの現場では,「何を目的に,どのようにデイケアを運営すべきか」をめぐって混乱があるように思われる。1994年11月に行われた精神障害者リハビリテーション研究会で,精神科デイケアについての検討が行われたが,デイケアによって治療目標や実践される治療内容に,隔たりが大きいことが改めて認識された。
このようなデイケア治療論の混乱は,米国においても同様に見い出される。Hodgeらは,「部分入院(partial hospitalization)の将来―再評価」と題する論文33)で,「米国でデイケア設置施設が増えてはいるが,デイケアが果たして有用であるのか,外来での濃厚なケアとの比較を検証する必要がある。デイケアの特異的な適応や効果が明確ではない」と述べている。この論文はその後,複数の反論が寄せられるなど反響を呼んだ14,15,74,78)。米国においては,伝統的な入院治療や外来治療と比較してデイケアの有効性がほぼ確立されている28,51)。しかしながら,Hodgeらの論文に限らず近年発表された総説24,58,72,95)で,デイケアが十分に活用されていないとの報告が目立つ。その理由として,デイケアの適応,治療目標,治療技法の選択,利用期間などが不明確なままに実施されていることが指摘されている。
精神科デイケアの運営については,我が国に精神科デイケアを紹介した国立精神衛生研究所(現:国立精神・神経センター精神保健研究所)の加藤,石原らによる成書46,83)があり,最近では,尾崎71)のデイケア論や,宮内57)によるデイケアマニュアルなどが出版され,優れた総説も発表されている8〜10)。しかし,精神科デイケアの現場では,「何を目的に,どのようにデイケアを運営すべきか」をめぐって混乱があるように思われる。1994年11月に行われた精神障害者リハビリテーション研究会で,精神科デイケアについての検討が行われたが,デイケアによって治療目標や実践される治療内容に,隔たりが大きいことが改めて認識された。
このようなデイケア治療論の混乱は,米国においても同様に見い出される。Hodgeらは,「部分入院(partial hospitalization)の将来―再評価」と題する論文33)で,「米国でデイケア設置施設が増えてはいるが,デイケアが果たして有用であるのか,外来での濃厚なケアとの比較を検証する必要がある。デイケアの特異的な適応や効果が明確ではない」と述べている。この論文はその後,複数の反論が寄せられるなど反響を呼んだ14,15,74,78)。米国においては,伝統的な入院治療や外来治療と比較してデイケアの有効性がほぼ確立されている28,51)。しかしながら,Hodgeらの論文に限らず近年発表された総説24,58,72,95)で,デイケアが十分に活用されていないとの報告が目立つ。その理由として,デイケアの適応,治療目標,治療技法の選択,利用期間などが不明確なままに実施されていることが指摘されている。
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