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文献詳細

雑誌文献

精神医学37巻9号

1995年09月発行

文献概要

研究と報告

完全寛解したCotard症候群(不全型)の2例—全経過16年の1例と短期に経過した1例との対比を通じて

著者: 山科満1 広沢正孝2 荒井稔2 永田俊彦2

所属機関: 1東京都立松沢病院 2順天堂大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.927 - P.934

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 【抄録】Cotard症候群(不全型)を呈し,完全寛解したうつ病圏の女性の2症例を経験した。1例の治療は薬物療法が中心で,病相は16年に及んだが,もう1例では電撃療法,精神療法などで4か月で寛解した。2症例とも病前性格は執着気質に属し,精力性と自己中心性,および「内省回避」といったマニー型の要素が共通していた。長期経過例は老年期に入って「自己治癒」の機転を経て寛解したが,その背景に身体の老化,治療環境の変化,家庭における居場所の獲得などの要素が関与していた。短期経過例では電撃療法が奏効し,さらに病前性格の同調性が支持的精神療法に反応する基盤となったことと,発症前の喪失体験の程度が比較的軽かったことなどが寛解を可能にしたと思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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