文献詳細
研究と報告
文献概要
【抄録】解離の発生と利用を詳述した1例を報告した。初診時26歳の既婚女性で,多彩な身体症状と解離状態を呈した。解離には,防衛的・適応的な自己催眠様状態と破綻的・不適応的な混乱状態がみられた。前者は「ボーツとして,話しかけられても気がつかないが,料理や運転はそのまましている」というもので,対人的接触を犠牲にして,情動の暴発を抑え,習慣的行動を能率的に遂行していた。「いじめにあって身につけた。考えてしまうのをやめようと努力したらこうなった。感情的なものを麻痺させる。このほうが楽。一点を見つめていると入ってしまう」と述べ,半ば意図的に誘発し利用する側面もうかがわれた。自己催眠様状態は解離の原初的形態であろうと考えた。
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