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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻1号

1996年01月発行

文献概要

展望

臨床睡眠医学—精神科領域における最近の進歩

著者: 内山真1 内田直2 渥美義賢3 融道男4

所属機関: 1国立精神・神経センター精神保健研究所精神生理部 2東京都精神医学総合研究所精神生理部 3国立特殊教育総合研究所情緒障害教育部 4東京医科歯科大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.6 - P.18

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 ヒトの睡眠研究は,1950年代のレム睡眠の発見によって急速に進展し,初期は精神科を中心に夢と精神病の関係についての実験的研究が盛んに行われた。その後,徐々に臨床的な研究が増加し臨床症候群の発見や記載が進んだ。1980年代になり欧米を中心に睡眠障害クリニックが多く開設されるようになった。睡眠障害の臨床的重要性が,独立した疾患として,また様々な精神疾患や身体疾患の随伴症状として再認識されるようになった。1988年のKrygerらによるモノグラフ27)の出版以来,睡眠医学(sleep medicine)という言葉が一般的になり,次第に1医学分野としての地位を固めつつある。こうした発展を踏まえ1990年には睡眠障害の国際分類が作成され12),診断と治療の指針が示された。
 精神科臨床では,精神科疾患における睡眠障害のマネージメントの重要性はもとより,リエゾン・コンサルテーション精神医学の活動が盛んになるにつれ,他科から睡眠障害についてコンサルテーションを受けることも多くなっている。精神科医は最新の睡眠医学の知識を持って睡眠障害に対処することを要請される。多くの患者が睡眠障害に苦しんでいるにもかかわらず,日本において睡眠障害の臨床的重要性がまだ広く認識されておらず,睡眠障害クリニックの開設は極めて少ない。近年の睡眠医学の発展が必ずしも一般臨床に生かされていないのが現状と思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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