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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻1号

1996年01月発行

研究と報告

分裂病と非定型精神病(満田)の症状と経過の相違について

著者: 林拓二1 安藤琢弥1 松岡尚子1 須賀英道1

所属機関: 1愛知医科大学精神神経科学教室

ページ範囲:P.27 - P.35

文献概要

 【抄録】愛知医大に1982年から10年間に精神病症状を呈して入院した351名を,ICD-10と従来診断により分類して,その精神症状と経過型を比較検討し,次の結果を得た。
 (1)非定型精神病は,従来診断にしろ日本版ICD-10にしろ,急性一過性精神病(F23)と分裂感情障害(F25)とを中心に構成される。両診断の主たる差異は,従来診断では非定型精神病とされる急性精神病の遷延型と,急性分裂病様精神病(F23.2)とを,日本版ICD-10では非定型精神病から除外していることである。(2)一級症状の出現頻度は,分裂病が有意に多いとは言えず,妄想知覚は非定型精神病に若干多かった。日本版ICD-10の非定型精神病では,幻声と自我障害が有意に少なかった。(3)ICD-10の分裂病診断では,なお大きく一級症状に依拠しているが,分裂病と非定型精神病との差異は,幻声などの一級症状にではなく,もっと生物学的な意識障害や人格の退行過程に求められるべきである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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