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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻1号

1996年01月発行

文献概要

研究と報告

動物に関連した病的体験を持つ症例の臨床的検討

著者: 佐々木由佳1 及川暁1 竹内淳子1 鈴木廣子1 酒井明夫1 三田俊夫1

所属機関: 1岩手医科大学神経精神科

ページ範囲:P.49 - P.54

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 【抄録】精神病理学的体験に動物が関与することの意義については,動物からの幻声体験としての「ドリトル現象」(Denning TR, West A, 1990)以外,まだ十分な検討が行われていない。今回我々は,ドリトル現象のほか動物関連の異常体験を呈した12例について症状論的検討を試みた。その結果,これら動物関連の異常体験には,①動物のしぐさや行為を起点とする異常な意味の顕現,②そうした異常な意味が動物から人間に言語的もしくは準言語的メッセージとして伝達される,という構造が共通に認められた。ドリトル現象の特徴とされている,①重症の精神病的状態の指標となる,②患者はしばしば危険な行動に出る,③患者は後にこの体験を話すことを嫌がる,などの事項は,ドリトル現象だけではなく,他の動物関連の体験にも出現する可能性が高く,このことは,「動物と人間の間の境界が曖昧になる」というこの体験の非日常性と関連していることが推定された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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