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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

MRIを用いた精神分裂病患者の脳の形態研究—体積計測による検討

著者: 染谷康宏1 大久保善朗2 阿部哲夫1 浅井邦彦1 融道男2

所属機関: 1静和会浅井病院 2東京医科歯科大学神経精神医学教室

ページ範囲:P.55 - P.61

 【抄録】精神分裂病患者25例と健康ボランティア20例に,3次元MRIを用いて3mm厚3mm間隔で全脳を覆うT1強調画像を撮影し脳内各部位の詳細な体積測定を行った。その結果,(1)左右の側脳室,第三脳室容積が,対照群に比較し分裂病群で有意に大きかった。(2)左右の前頭葉,左右の尾状核体部,右側頭葉体積には両群に有意な差を認めなかった。(3)左側頭葉,左右の海馬体積が,対照群に比較し分裂病群で有意に小さかった。(4)陰性症状と分裂病群の右側頭葉体積に負の相関(r=-0.41)が認められた。以上より分裂病群では,海馬,脳室,左側頭葉の形態異常が認められ,陰性症状の発現には,それに加えて右側頭葉の形態異常が関与していると考えられた。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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