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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻1号

1996年01月発行

短報

Diffuse neurofibrillary tangles with calcificationの1臨床例

著者: 李鋒1 西村徹1 井関栄三1 小阪憲司1

所属機関: 1横浜市立大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.91 - P.93

文献概要

 Diffuse neurofibrillary tangles with calcification(石灰沈着を伴うびまん性神経原線維変化病,以下DNTCと略す)は,以下の臨床病理学的特徴を有する症例群に対し,1992年小阪が1疾患単位として提唱した名称である2,3)。臨床的には,主に初老期に記憶障害で発症し,皮質性痴呆が緩徐に進行する。初期には精神症状を伴ったり,人格障害や言語機能の障害などの症状が混在する。進行すると,種々の神経症状が加わり,末期には失外套症候群に陥る。神経放射線学的に側頭葉や前頭葉優位の萎縮と広範な石灰化を認め,神経病理学的にも同部位の限局性萎縮とFahr病様の石灰沈着を認める。また大脳皮質に多数の神経原線維変化をみるが,老人斑やピック嗜銀球を欠く。すなわち,アルツハイマー病やピック病など既知の初老期痴呆性疾患と類似点を持つが,そのいずれとも異なる疾患である。これまでに20例ほどの報告がなされているが,池田ら1)の1例を除くと全例が剖検例である。今回我々は本疾患と考えられる1臨床例を経験したので画像所見とともに報告し,本疾患の生前診断が可能であることを指摘した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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