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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻10号

1996年10月発行

研究と報告

精神分裂病者における消化性潰瘍—疼痛の訴えがない例の特徴

著者: 吹野治12 坂本泉3 柏木徹3 福間悦夫3

所属機関: 1国立療養所鳥取病院内科 2現,静岡県総合健康センター 3国立療養所鳥取病院精神科

ページ範囲:P.1079 - P.1082

文献概要

 【抄録】精神病者は一般に合併症の症状を訴えることが少ないといわれているが,個々の合併疾患についての報告は少ない。今回,精神科入院精神分裂病患者の消化性潰瘍10例の臨床症状を調査し,疼痛の訴えがない例とある例とを比較した。その結果,精神分裂病者の消化性潰瘍では出血症状,悪心嘔吐,食欲不振が高率である一方,疼痛は少ない傾向にあった。また疼痛の訴えがない例はある例に比べ,抗精神病薬服用量が多く,出血症状で初発するものが多かった。以上より精神分裂病者の消化性潰瘍は,一般内科の症例に比べて身体的に重篤なものが多く,特に大最の抗精神病薬を投与されていると,疼痛を訴えにくく,出血症状により発見されやすい傾向があった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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