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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻10号

1996年10月発行

短報

うつ病の経過中に性欲亢進を呈した1例—trazodone投与による副作用か?

著者: 中村純1 小鳥居剛1

所属機関: 1久留米大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.1083 - P.1086

文献概要

 trazodone6)(以下,TZDと略す)は,従来の抗うつ薬とは異なりnoradrenaline(NA)に比べserotonin(5-HT)の再取り込み阻害作用が比較的選択的であり,最近開発中の選択的5-HT再取り込み阻害剤(SSRI)に近い治療スペクトラムを有するとされている。したがって,副作用としては眠気,ふらつきなどが多く,口渇,便秘などの抗コリン性副作用は少ないと推定されている。
 ところで,TZDにはα1-adrenaline(α1-Ad)受容体遮断作用を有することも指摘5)され,それによる副作用としてTZD導入時より持続性勃起症1,13)が起こることが懸念されていたが,泌尿器科領域ではTZDをインポテンツの治療に用いた報告9〜11)もなされている。最近,TZDは抗うつ薬として最も多く使用されているにもかかわらず,TZDによる持続性勃起症に関する報告は日本ではまだみられていない。今回,TZDを投与されたうつ病患者の経過中に抑うつ気分とは調和しない性欲亢進症状を呈した1例を経験したが,これはTZDによる持続性勃起症と関連した副作用と考えられたので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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