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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻10号

1996年10月発行

文献概要

短報

Clomipramineが著効した抜毛症(trichotillomania)の1例

著者: 高橋契12 嶋中昭二1 小山司1

所属機関: 1北海道大学医学部精神医学教室 2現,市立札幌病院静療院精神神経科

ページ範囲:P.1101 - P.1104

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 抜毛症(trichotillomania)とは,“毛髪を自らの手で引き抜くという衝動に抵抗することに繰り返し失敗して生じる顕著な毛髪損失によって特徴づけられる障害”と定義される(ICD-10 F63.3)。好発部位は頭髪とされ,なかでも前頭部や頭頂部,側頭部など利き手の可動範囲に多いと言われている。また,好発年齢は学童期と言われ,従来,治療としては行動療法や精神療法が頻用されてきた。
 近年,trichotillomaniaにおける選択的セロトニン(5-HT)再取り込み阻害薬(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor;SSRI)の有効性に関する報告が諸外国で散見される1,6,7)が,本邦においては我々が調べたかぎり報告がない。今回,我々は,比較的選択的な5-HT再取り込み阻害能を有するclomipramine(以下CMIと略記)の投与により著明な改善の得られたtrichotillomaniaの1症例を経験したので,若干の考察を加えて報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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