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特集 精神医学における分子生物学的研究
精神医学における分子生物学的研究の現状と問題点
著者: 有波忠雄1
所属機関: 1筑波大学基礎医学系遺伝医学
ページ範囲:P.1132 - P.1140
文献購入ページに移動 分子生物学は生命現象を分子レベルでの実体的な把握に立脚した立場から解明しようとする1分野であり,1970年以降飛躍的な進歩を遂げた。その成果は,生物学的精神医学の中にも取り入れられ,遺伝,神経伝達,精神薬理などに関する研究では分子生物学の手法が多く使われている。なかでも,分子遺伝学の発達は,精神疾患が遺伝的に起こるという長い間かかって定着した事実を,具体的な遺伝子の同定の目的に利用できるようにした。精神疾患にかかわる特定の遺伝子を明らかにし,その脳での役割を解明することは,理論的にも実用面においても莫大な成果を生むことになるだろうと期待されている。本特集では,主要な精神疾患を対象に,主に分子遺伝学的研究が紹介される。現時点での主要な精神疾患の分子遺伝学的研究は連鎖解析法を中心に行われている。そこで,本稿では連鎖解析法の考え方やそれを精神疾患に適用する際に抱えている問題点を中心に解説し,以降の各論の理解の助けとしたい。
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