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特集 精神医学における分子生物学的研究
感情障害の分子生物学的研究
著者: 稲山靖弘1 米田博1
所属機関: 1大阪医科大学神経精神医学教室
ページ範囲:P.1147 - P.1153
文献購入ページに移動■はじめに
現在,感情障害の分子生物学的研究は,患者群と健常者群の特定の遺伝マーカーのタイプを比較する相関研究や,多発家系を用いて遺伝マーカーとの共分離を検討する連鎖研究が中心である11,21,23,24)。さらに最近,感情障害の発症に重要と考えられる神経伝達物質受容体,または転換酵素が次々にクローニングされ,その染色体上の座位やエクソンーイントロン構造が明らかにされており,これら遺伝子を,患者群において系統的にプロモーターを含む領域をPCR-SSCP(polymerase chain reaction-single strand conformation polymorphisrn)法やシークエンス法により解析し,イントロン領域における多型やエクソンにおけるサイレント変異(アミノ酸置換を伴わない塩基配列の変異),ミスセンス変異(アミノ酸置換を伴う変異)を見つけだし,これらの変異が発症に関与しているかどうかが検討されている。
ここでは,これまで行われてきた感情障害の分子生物学的研究を,主として薬理学的見地より神経伝達物質に従って分類し,受容体や転換酵素などの遺伝子構造の多型を利用した相関研究,連鎖研究を中心に概観したい。
現在,感情障害の分子生物学的研究は,患者群と健常者群の特定の遺伝マーカーのタイプを比較する相関研究や,多発家系を用いて遺伝マーカーとの共分離を検討する連鎖研究が中心である11,21,23,24)。さらに最近,感情障害の発症に重要と考えられる神経伝達物質受容体,または転換酵素が次々にクローニングされ,その染色体上の座位やエクソンーイントロン構造が明らかにされており,これら遺伝子を,患者群において系統的にプロモーターを含む領域をPCR-SSCP(polymerase chain reaction-single strand conformation polymorphisrn)法やシークエンス法により解析し,イントロン領域における多型やエクソンにおけるサイレント変異(アミノ酸置換を伴わない塩基配列の変異),ミスセンス変異(アミノ酸置換を伴う変異)を見つけだし,これらの変異が発症に関与しているかどうかが検討されている。
ここでは,これまで行われてきた感情障害の分子生物学的研究を,主として薬理学的見地より神経伝達物質に従って分類し,受容体や転換酵素などの遺伝子構造の多型を利用した相関研究,連鎖研究を中心に概観したい。
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