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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻11号

1996年11月発行

特集 精神医学における分子生物学的研究

てんかんの分子生物学的研究

著者: 兼子直1 千葉丈司1 和田一丸1

所属機関: 1弘前大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.1155 - P.1161

文献概要

■はじめに
 最近の分子生物学的研究の発展により,様々な疾患の原因遺伝子が同定され,てんかんの原因も分子遺伝学的に追究されている。原因遺伝子の解明は臨床症状と脳波によるこれまでの分類の再編,責任蛋白の有無の追究,てんかんの発症機序の解明,ひいては新しい治療法の開発やてんかん発症の抑制手段へとつながる可能性がある。
 本稿では,現時点で報告されているてんかんの分子生物学的研究成果について,その問題点を含めて考察する。
 てんかんは,大脳ニューロンの過剰発射に由来する発作を反復する慢性の大脳疾患である。その原因は器質性脳障害(胎生期・周産期障害,脳炎,脳症,頭部外傷など)に起因すると推測されるものが多い。単一遺伝子病,染色体異常症など,既知の疾患に伴う症候性てんかんもあるが,それはてんかん全体の数%以下にすぎない。既知の疾患に随伴しないてんかんへの遺伝の関与は,特発性のみならず症候性てんかんにおいても家族内有病率の高いことが明らかとなっており12),少なくともその一部には遺伝が関連することに疑いの余地はない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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