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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻11号

1996年11月発行

研究と報告

両側側頭葉の著明な萎縮を認めた意味痴呆(Semantic dementia)の1例

著者: 中村有1 川勝忍1 田中武1 灘岡壽英1 十束支朗1

所属機関: 1山形大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.1207 - P.1213

文献概要

 【抄録】病初期に語義失語を呈し,次第に人物認知障害を来して意味痴呆となった症例を報告した。症例は初診時58歳の女性。漢字の読字障害で発症し,2年後には語義失語像を呈した。発症4年後頃からは語彙が極端に貧困となり,滞続言語を呈するとともに夫,嫁など身近な人物が認知できなくなった。ADLは保たれていた。CT,MRIでは側脳室下角の拡大,側頭葉の楔状の萎縮がみられ,SPECTで左側優位の両側側頭葉の進行性の血流低下を認めた。画像所見からは側頭葉型Pick病が最も疑われた。本例では病変が側頭葉に限局するため意味記憶が選択的に障害され,特異な症状が出現したと考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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