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研究と報告
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【抄録】滋賀医科大学精神科神経科に入院した13名のうつ病患者に一晩の断眠を施行した。その結果,気分障害の下位分類で断眠の抗うつ効果に差が認められた。双極性障害うつ病性と特定不能の双極性障害では全例に抗うつ効果が認められた。一方,大うつ病反復性では抗うつ効果が認められたものは半数であり,大うつ病単一エピソードでは全例無効であった。断眠に対する反応と抗うつ薬(デシプラミンまたはクロミプラミン)に対する反応の関連性を検討した結果,断眠無効例では,デシプラミンは全例無効であり,クロミプラミンは全例有効であった。一方,断眠有効例では,デシプラミンは全例有効であった。これらの結果は,断眠が抗うつ薬に対する反応性を予測する因子となりうる可能性を示している。
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