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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻11号

1996年11月発行

短報

慢性精神分裂病におけるtrazodone併用の効果—trazodoneの漸減・中止による検討

著者: 寺尾岳1 大賀哲夫2 大田有光2 桑門大2 金沢耕介1 山本純史1 座間味宗和2 岡田正勝2

所属機関: 1産業医科大学精神医学教室 2日立梅ヶ丘病院

ページ範囲:P.1219 - P.1222

文献概要

 精神分裂病に対する治療法の1つとして,butyrophenone系やphenothiazine系抗精神病薬を主体とする薬物療法が依然として重要な位置を占めている。しかしながら,従来の抗精神病薬は幻覚や妄想などの陽性症状に対しては奏効するものの,自発性欠如や感情鈍麻などの陰性症状や抑うつ症状などには反応しにくいとされている。欧米においてはすでに,clozapineやrisperidoneなどいわゆる非定型抗精神病薬と称される薬物が広く使用され陰性症状改善に一定の成果を上げている。これら非定型抗精神病薬は,従来の抗精神病薬と同様にD2 receptor拮抗作用を有するが,さらに5-HT2 receptor拮抗作用も有することが知られている。しかし本邦においては,ようやくclozapineは再治験,risperidoneは治験から認可に至ったところである。このような事情から,陰性症状や抑うつ症状を改善するために,様々な向精神薬と抗精神病薬の併用療法が試みられているのが現状である。他方,このような併用療法が漫然と行われていることも少なくなく,多剤併用による副作用を軽減するためにも,併用薬の減量や中止によって,併用の有用性を適宜,検討していくことが肝要と考えられる。
 今回筆者らは,5-HT2 receptor拮抗作用を有するtrazodoneを抗精神病薬と併用中の慢性精神分裂病患者からこの薬物を徐々に減量し中止することで,逆にどのような症状にtrazodoneが効果的であったのか検討したので,予備的研究として報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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