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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻12号

1996年12月発行

文献概要

研究と報告

精神病院長期入院者の退院に対する意識とその形成要因—自記式全国調査に基づく分析

著者: 大島巌1 吉住昭2 稲沢公一1 猪俣好正3 岡上和雄1

所属機関: 1(財)全国精神障害者家族会連合会保健福祉研究所 2国立肥前療養所 3宮城県立名取病院

ページ範囲:P.1248 - P.1256

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 【抄録】1年以上在院する精神分裂病者本人を対象にした自記式調査から,彼らの退院意識の構造を明らかにし,退院積極性を形成する要因を分析した。その結果,3レベルの意識(退院考慮,退院希望,退院可能性評価)はいずれも退院に前向きで,一貫した傾向が認められた。退院積極度尺度を作成して重回帰分析を行うと,家族条件変数の寄与が特に大きかった。一方,入院生活条件の寄与は比較的大きいが社会資源条件のそれは小さい。長期入院者の家族条件は概して厳しいことから,長期入院者の退院意欲を地域生活の実現へ確かに結びつけるためには,地域援助資源の活用に関する実際的な援助活動を病棟で積極的に行うべきことが考察された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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