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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻12号

1996年12月発行

文献概要

研究と報告

分裂病とパラノイア人格の関係についての1考察

著者: 齋藤正範1 濱田秀伯1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部精神神経科学

ページ範囲:P.1281 - P.1286

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 【抄録】熱情精神病(Gatian de Clérambault G)の病像を呈する,22歳の男性症例を経験した。自己中心性,判断の誤り,硬直性,不信などのパラノイア人格の特徴が認められ,持続的な発揚状態を呈し,性的な内容の誇大妄想から他の多くの妄想が扇形に派生している点でパラノイアに類似する一方,年齢が若く,人格の屈折的変化がみられ,妄想内容が荒唐無稽で衝動行為を繰り返し,生活態度が自閉的である点から分裂病と診断しうる症例である。分裂病過程による人格変化には情意鈍麻のほかにパラノイア性人格への変化も存在し,後者の型の人格変化によりドイツの好訴妄想,フランスの復権妄想を中心とするパラノイアの病像が生じたと考えれば,本症例の経過は一元的に説明される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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