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研究と報告
分裂病とパラノイア人格の関係についての1考察
著者: 齋藤正範1 濱田秀伯1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部精神神経科学
ページ範囲:P.1281 - P.1286
文献購入ページに移動 【抄録】熱情精神病(Gatian de Clérambault G)の病像を呈する,22歳の男性症例を経験した。自己中心性,判断の誤り,硬直性,不信などのパラノイア人格の特徴が認められ,持続的な発揚状態を呈し,性的な内容の誇大妄想から他の多くの妄想が扇形に派生している点でパラノイアに類似する一方,年齢が若く,人格の屈折的変化がみられ,妄想内容が荒唐無稽で衝動行為を繰り返し,生活態度が自閉的である点から分裂病と診断しうる症例である。分裂病過程による人格変化には情意鈍麻のほかにパラノイア性人格への変化も存在し,後者の型の人格変化によりドイツの好訴妄想,フランスの復権妄想を中心とするパラノイアの病像が生じたと考えれば,本症例の経過は一元的に説明される。
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