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雑誌詳細

文献概要

短報

有機溶剤吸入によるせん妄状態を疑われていた成人型シトルリン血症の1例

著者: 花澤寿1 林竜介1 池田政俊1 長谷川雅彦1 日野俊明1 冨山學人1 竹内龍雄1 清水夏繪2

所属機関: 1帝京大学医学部付属市原病院精神科 2帝京大学医学部付属市原病院神経内科

ページ範囲:P.1289 - P.1292

 シトルリン血症とは,尿素サイクルの構成酵素であるargininosuccinate synthetase(以下ASS)の先天性の欠損症である。外国での報告はほとんどが新生児期から小児期の発症例であるが,日本では成人期以後の発症例が多いのが特徴であり,成人型シトルリン血症として報告されている。
 主症状は反復性の意識障害であるが,先天性代謝異常でありながら成人期に発症すること,高アンモニア血症以外に通常の検査で異常がみつからないことなどから,診断が困難な場合も稀でない1,3,8)。今回我々は,反復性に興奮を伴う意識障害を呈し,当初有機溶剤吸入に起因するせん妄状態が疑われていたが,後に成人型シトルリン血症と診断された1例を経験したので,その臨床的特徴と治療経過を中心に報告する。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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