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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻12号

1996年12月発行

文献概要

短報

リン酸コデイン長期内服離脱時,著しい抑うつ状態を呈した1例

著者: 石川正憲1 鈴木利人2 堀孝文2 佐々木恵美2 白石博康2

所属機関: 1筑波大学附属病院精神神経科 2筑波大学臨床医学系精神医学

ページ範囲:P.1293 - P.1296

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 リン酸コデインは主に鎮咳薬として市販され,止痢目的に使用されることもある薬物である4)。コデインは,従来opioid作用の弱い弱opioidに分類され4),本剤を長期間大量服用した際には精神依存や身体依存を形成することがあり,離脱時には「自律神経症状の嵐」と表現される発汗,流涙,瞳孔散大,下痢,嘔吐などの身体症状を呈し,薬物に対する強い欲求や不安焦燥感などの精神症状が出現すると指摘されている2,10)
 今回,我々は多量のリン酸コデインを常用するようになった後,離脱時本剤に特徴的な身体症状に加え,一過性に著しい抑うつ気分を呈した男性例を経験した。本例はコデイン離脱にかかわる精神症状を検討する上で興味ある症例と思われ,若干の考察を加え報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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