文献詳細
シンポジウム 痴呆の薬物療法の最前線—向知性薬の臨床と基礎
神経細胞Ca2+チャンネルに対する向知性薬の賦活作用—神経生理学の立場から
著者: 吉井光信1
所属機関: 1東京都精神医学総合研究所神経生理研究部門
ページ範囲:P.1329 - P.1335
文献概要
向知性薬は脳内の神経伝達を促進するとの知見が数多くあり,特にグルタミン酸作働性,コリン作働性,ドーパミン作働性・GABA作働性の神経伝達の促進が示唆されている4)。また,記憶や学習のモデル系として知られる海馬において向知性薬はシナプス伝達の長期増強(LTP)を強めることも知られている4,23)。このような向知性薬による神経伝達の増強は,より多くの伝達物質が前シナプス終末部より遊離されることにより生ずる場合16)と,伝達物質に対する応答が後シナプス神経細胞で強まることにより生ずる場合8,9,21,24)が考えられる。
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