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【抄録】慢性分裂病の亜型分類には,精神病理の記述的な視点のほかに,精神生理の計量的な視点を併せて持つ必要がある。そのために日常臨床で単純に測定でき,受け入れられやすく,しかも治療的雰囲気を損わないテストを用いた。それは物差し落としを指で挟み止める際の単純反応時間DSTと血圧測定時の心拍変動PRDの2指標である。外来慢性分裂病患者群と正常対照群についてのDST×PRDの2次元分散図から,分裂病者は正常域,過敏型,遅延型の3機能的亜型に分離された。異常の2亜型は正常域に対して,精神病理と社会適応度の2評価尺度によって,陰性症状と社会適応減退に傾斜する相関を示した。この所見の症例検討や治療の方向づけについての意味を論じ,併せて心的エネルギー概念の計量化を考察した。
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