icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻2号

1996年02月発行

研究と報告

遅発緊張病の1例

著者: 古茶大樹12 濱田秀伯1 佐藤忠彦2 北里信太郎3 内田晃雄4

所属機関: 1慶應義塾大学医学部精神神経科学教室 2桜ケ丘記念病院 3国立療養所久里浜病院 4内田クリニック

ページ範囲:P.141 - P.147

文献概要

 【抄録】遅発緊張病の1例を報告した。60歳代後半で初発し,心気的な前駆期に引き続き,急性の不安・焦燥で発症,激しい緊張病性興奮に移行し,やがて昏迷状態が長期にわたって持続した。電気けいれん療法導入後は激しい精神症状は消失したが,発症後6年が経過した現在でも寛解には至らず,一種の残遺状態で固定している。残遺状態は,情意鈍麻を背景に,分裂病性の不安や妄想気分が認められた。抗精神病薬に全く反応せず,電気けいれん療法は,唯一の有効な治療手段であった。全経過を,前駆期,病初期,極期前期・後期,残遺期に分け,精神病理学的に詳細に記述し考察を加えた。さらに遅発緊張病の疾病分類学的位置づけについても,いくつかの可能性を提示した。『不全型』の存在,精神分裂病スペクトラム上の位置づけについても言及した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら