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【抄録】滋賀医科大学精神科神経科に入院した7名のうつ病患者に断眠療法を施行した。HRSDとVASを用いてその臨床的有用性を検討するとともに,断眠の尿中メラトニン代謝産物(6-sulphatoxymelatonin;6SM)に及ぼす効果を検討した。その結果,被験者7名中6名は1晩の断眠によりHRSD,VAS共に著明な改善を示した。6名のうち4名は1週間後も改善が持続したが,2名は悪化した。また,1週間後も改善を示した4名のうち1名はその後に躁転を起こした。HRSDの各項目では,断眠により抑うつ気分,仕事と興味の喪失,精神運動抑制の項目で統計学的に有意な改善を認めた。夜間の6SM量は断眠後第1日目の夜に約2倍の増加を示し,HRSDの改善と夜間の6SM量の増加には有意な負の相関が認められた。これらの結果は,断眠療法がうつ病に対して有効な治療法であり,その作用機序にノルアドレナリン系の活動亢進が関連することを示唆している。
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