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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻2号

1996年02月発行

研究と報告

発熱を伴う昏迷状態を繰り返した周期性精神病の1例

著者: 加来浩一1 稲垣卓司1 石野博志1 高橋健太郎2

所属機関: 1島根医科大学精神医学教室 2島根医科大学産科婦人科学教室

ページ範囲:P.169 - P.174

文献概要

 【抄録】症例は28歳女性。不眠の後,37〜38℃台の発熱とともに,体の震え,全身倦怠,食欲低下などの身体症状と,妄想,不安,精神運動抑制,昏迷状態,時に自殺企図などの精神症状を来す病相を,20歳初発時に3回,28〜29歳にかけて10回繰り返した。病相は約30日おきに起こることが多く,ほぼ10日以内に解熱とともに軽快した。内分泌的には,低温1相性の基礎体温,LH/FSH比の上昇,テストステロンの高値,LH,FSHの脈波状分泌の消失を認めた。また,卵巣エコーで多嚢胞性卵巣の所見と,頭部MRIで脳下垂体にmicroadenomaを疑わせる所見を認めた。病因として,視床下部-下垂体-性腺系の機能脆弱性を推測した。ハロペリドールは病相の再発を予防できず,カルバマゼピンと,内分泌動態是正のための卵胞・黄体ホルモンの投与(Kaufmann療法)が再発を予防し,現在まで1年11か月以上にわたり病相は出現していない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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