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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻2号

1996年02月発行

文献概要

研究と報告

側頭葉てんかん患者のMRIと脳波,SPECT,臨床的因子の関連性について

著者: 上杉秀二1 大沼悌一1 松田博史2 石田孜郎1

所属機関: 1国立精神・神経センター武蔵病院精神科 2国立精神・神経センター武蔵病院放射線科

ページ範囲:P.175 - P.180

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 【抄録】側頭葉てんかんのMRI,SPECTと脳波,臨床的因子の関係を調べた。対象は162例(男84例,女78例),平均年齢は38.1±12.1歳。SPECTは45例に施行。結果は以下の通り。(1)発作波なし群のMRI異常は36%,側頭部棘波群が42%で,発作波とMRI異常の関連性はなかった。発作波とMRIの左右局在の不一致は39例中9例(23%)にみられ,頭皮上脳波からてんかん病巣の判定は困難と考えられた。基礎波とMRI異常の関連性はなかった。(2)SPECT異常率は89%で,MRIの40%と比べ高率だった。SPECTとMRI異常の左右不一致は1例(2%)のみだった。(3)発作性(口部,行動,言語)自動症あり群のMRI異常率は52%で,自動症なし群の35%に比し有意に高率だった。(4)脳炎の既往あり群のMRI異常は73%と高率だった。(5)熱性けいれんあり群のMRI異常は62%で,熱性けいれんなし群の28%と比べて有意に高かった。(6)発作頻度が月数回以上群のMRI異常は48%で,年数回以下群の29%に比し有意に高率だった。MRIおよびSPECTは,てんかん医療に有益な検査と考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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