icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻2号

1996年02月発行

研究と報告

精神症状と脳波異常を伴ったACTH単独欠損症の1症例

著者: 岸敏郎1 木谷光博2 長沼六一1

所属機関: 1松ケ丘病院 2益田赤十字病院神経内科

ページ範囲:P.187 - P.194

文献概要

 【抄録】精神症状と脳波異常を呈したACTH単独欠損症の1症例(44歳,男性)を報告する。感冒を契機に嘔吐,無気力,低Na血症など副腎不全症状で発症した。同一脳波に両側同期性びまん性の高振幅δ波とびまん性低振幅β波が交代性に出現し,別の記録ではβ波のみが,あるいはθ波のみが出現する基礎律動の急変を認め,パレイドリア,妄想,多幸気分,児戯性を伴った。すべて意識清明下に,glucocorticoid補充前にみられた所見である。ACTH単独欠損症の精神症状や脳波異常は,続発性副腎不全,つまりglucocorticoid欠乏によるとの報告があるが,これだけで上記の脳波変動を説明するのは困難であること,補充療法による副腎不全の改善後も多幸気分が遷延したことから,本例の場合,副腎のみならず下垂体より上位の機能不全の関与が否定できないと思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら