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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻2号

1996年02月発行

文献概要

研究と報告

急性一過性内因性精神病にみられたacute confusional state様の意識混濁について—神経心理学的検査所見,脳波所見と精神症状との関連

著者: 村井俊哉1 十一元三1 華園力1 石坂好樹1 扇谷明1

所属機関: 1京都大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.195 - P.199

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 【抄録】反復する精神病状態を伴って経過する内因性精神病の1例について,急性期にacute confusional state(ACS)様の注意の転導性の著しい充進が観察され,同時に,神経心理学的検査,脳波検査に精神症状と密接に関連するとみなされる特徴的な所見が認められたので報告する。脳波では,前頭部優位の広汎性の徐波を認め,神経心理学的検査では数唱など,注意障害に関連した項目が特に不良であった。また,患者は過書の傾向を示し,自発的に書かれた日記,手紙から種々の書字の誤りが認められた。これらの特徴は中毒性,代謝性疾患でのACSで知られている所見と共通するものであった。さらにこれらの神経心理学的検査所見,脳波所見は,その後精神症状の改善に伴って改善の傾向が認められ,臨床的なACSの状態像と密接に関連していたことがうかがわれた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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