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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻3号

1996年03月発行

文献概要

研究と報告

長期入院後の精神分裂病患者の再入院についての検討

著者: 樋口雅朗12 林直樹1

所属機関: 1東京都立松沢病院精神科 2現,国立精神・神経センター武蔵病院

ページ範囲:P.245 - P.251

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 【抄録】我々は都立松沢病院に精神分裂病の診断で入院し,1986年から1990年未までに退院した患者のうち3年間以上入院した患者で,退院した時点で同院外来治療に引き継がれた43例(男性20例,女性23例)を対象として,入院前後の社会適応状況,入院長期化の理由,退院後の入院予後などの相互の関連性を把握するための病歴調査を行った。対象患者の累積非再入院率は3年目66.7%,6年目46.3%であった。そして退院後家族の同居のある患者は単身生活者に比べて退院6年目で有意に再入院が少なくなり,長期入院の理由として家族の感情的反発が診療録に記載されていると退院後3年目,6年目に有意に再入院が多くなる,などの所見が得られた。これらの所見から,退院後地域に戻った長期入院患者は入院予後が比較的良好なこと,退院時の同居者,特に親の同居や家族の精神的協力が再入院を減少させる要因であることが推定された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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