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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻3号

1996年03月発行

文献概要

研究と報告

睡眠相後退症候群患者の心理特性について—予備的研究

著者: 白山昌子1 飯田英晴1 白山幸彦1 白川修一郎2 大川匡子2 高橋清久1

所属機関: 1国立精神・神経センター武蔵病院 2国立精神・神経センター精神保健研究所

ページ範囲:P.281 - P.286

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 【抄録】睡眠相後退症候群の患者11例に4種の心理テストを行った。YGテストとMMPIでは疑問点が高く,MMPIの2数字記号型では心気症尺度を示す者が多かった。PFスタディでは自我防御型が低く,内罰方向・要求固執型が高く,ロールシャッハテストではW%,W/D,VIII-X/R%は高く,FK+Fc/F%,FC/CF+Cは低い傾向がみられた。以上から,(1)全般的に防衛的で,決断力が弱く,葛藤を生じやすい神経症的傾向を持つ,(2)高い要求水準を持ち,完全主義で,他者依存に抵抗がある,(3)感情刺激に対する感受性が高く,自己中心的な感情を持ちやすい,といった性格特徴が得られた。こうした性格特徴は,無力感・不全感を感じやすく,社会的に引きこもり,リズム同調の社会的手がかりが減少し,悪循環を構成する要因となると推測した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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